常國寺の歴史
常國寺は,広島県福山市熊野町に所在する日蓮宗の寺院で,山号は廣昌山という。文明年間,渡辺越中守兼が父長門守の菩提を弔うために京都本法寺の末寺として久遠院日親を招いて開基したと伝える。天正4年(1576)から 15 年にかけて室町幕府最後の将軍足利義昭が備後国鞆へ移り,備後国の数カ所に居住したとき,毛利輝元から義昭の警固を託された渡辺出雲守房が,常国寺を義昭の御所のひとつとした。 毛利氏が防長に国替になった後も,常國寺は福山藩主になった水野勝成の三男を第8世住持として迎えるなど,寺勢を保っていたと推定される。常國寺では、第 10 世日迨(宝永6年(1709)没)から第 12 世日遼(享保 14 年(1729)没)までの間に,客殿・庫裏・本堂・唐門などが次々と建立または修理されていることが知られる。 常國寺の唐門は,第 12 世日遼の代に建てられたとされており,日遼が没した享保 14 年以前に建てられたものと推測され,室町幕府最後の将軍である足利義昭の由緒を,享保期の施主と大工が当時の知識と技術で建物の形式及び意匠で示したという特色をもつ建造物である。扉上段の桟の間に桐文様を浮き彫りにした板が嵌め込まれ,中備の蟇股には足利氏の家紋である二つ引両が彫られている。軒丸瓦の瓦頭模様も,旧のものは二つ引両であり,足利義昭の御在所であった由緒を表現している。 虹梁や木鼻に彫られた絵様や蟇股の形などは、共に時代相応の特徴をみせる。 控柱の虹梁形の頭貫とそれに直交する木鼻は雲形に作られており,大瓶束の左右に付く笈形彫刻も力強く,材質・技法・意匠ともに優れている。
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